「謝辞の書き方がわからない・・・」
「謝辞を書く前にどういったものなのかを知っておきたい・・・」
「そもそも、謝辞ってなに?」
本記事では、こういった悩みや疑問に答えていきたいと思います。
この記事を読むことで、 謝辞についての理解を深め、自身の論文の謝辞を書くことができるようになります。
卒論や修論における「謝辞」とは?
まずは「謝辞」について基礎的な説明をします。
「謝辞」とは
「謝辞」とは、自身が研究をするにあたってお世話になった方々への感謝の気持ちを示したメッセージのことをいいます。
自身が研究や論文執筆を遂行するにあたって支えてくれた、主指導教員や研究室のメンバー、研究の助成金を出してくれた機関、人によっては家族などに向けて書きます。
また、謝辞には、感謝の意を表することのほかに、
- 論文の体裁(フォーマット)として
- 研究がしっかり行われた証拠として
- 研究の財源の証明として
など、実務的な側面の役割も持ちます。
多くの学位論文には、この「謝辞」が記されておりますので、論文を執筆する際には書いておくと良いでしょう。
謝辞は論文の一番最後に挿入
通常、謝辞は論文の最後尾に1枚、多くても2枚程度で挿入します。
また、一般的な文系論文の構成は次の通り。
章 | タイトル | 説明 |
第1章 | 序論 | 研究の背景や目的、リサーチクエスチョン、調査方法、特色や意義、論文の構成などを述べる。 |
第2章 | 文献レビュー | 関連する過去の文献や論文、理論を、その分野の学術的流れや歴史なども含めて要約し、批判的に検討する。用語の定義などもここで。 |
第3章 | 調査 | 詳しい調査背景とその調査結果をまとめる。事実を淡々と述べる。 |
第4章 | 分析と考察 | 第3章の調査結果を第2章の流れ(理論)に沿って分析し、考察する。 |
第5章 | 結論 | ここまでのことを簡単にまとめ、リサーチクエスチョンへの回答を述べる。含意と課題も述べる。 |
参考文献 | 論文中で引用した文献を全て記す。 | |
口頭発表・発表論文 | 研究内容を学会などで口頭発表した場合や雑誌等に掲載した場合は記す。 | |
謝辞 | 研究の支援をしてくれた周りの人々に感謝の言葉を述べる。 |
「謝辞」が一番最後にきていますね。
謝辞の書き方
実践的な謝辞の書き方は次の通り。
まずは、謝辞の例文をみてみよう
謝辞がどういったものかを理解するには、実際に書かれた謝辞を見ることが手っ取り早いでしょう。
自身の研究室の先輩方の学位論文の謝辞を確認することがオススメです。いくつか手に取ってみて、比べてみるとよいでしょう。
過去の学位論文がすぐに参照できない方のために、以下にシンプルな謝辞の一例を掲載しておきます。
本論文の執筆にあたり、多くの方々にご支援いただきました。
本研究のために調査にご協力いただいた各企業のみなさまに心から感謝いたします。
中間審査および最終審査では、〇〇 〇〇教授、〇〇 〇〇教授、〇〇 〇〇准教授より、貴重なご指導とご助言を賜りました。感謝申し上げます。
主指導教員である〇〇 〇〇教授には、研究の着想から、調査、論文執筆まで多くのご指導をいただきました。心から感謝申し上げます。
最後に、所属する〇〇ゼミのみなさまには多くのご支援をいただきました。お礼申し上げます。
ありがとうございました。
次に、リストに沿って洗い出してみよう
よくある感謝の対象は以下の通り。
自身の場合を考えて同じように書き出してみると良いでしょう。
順番(遠さ) | 感謝の対象 | 感謝の内容 |
1 | 調査協力者 | ご協力 |
2 | 中間/最終審査の担当教員 | ご指導/ご助言 |
3 | 主指導教員 | 研究の着想から調査、論文執筆まで多くのご指導 |
4 | 研究室のメンバー | ご助言/ご支援 |
ほかには、研究の助成金を出してくれた団体や、家族、その他関与した機関や会社、サービス、製品(ソフトウェア)などに対しても感謝の意を表する場合があります。
最後に、文章に起こそう
先ほどの例文のように、シンプルに端的に感謝のメッセージを述べていきましょう。
順番は、自身から遠い順(=関与度が低い順)に書いていくと良いでしょう。
個人名を出すときは、なるべく本人の許可を得ましょう。また、実際に記す際は、表記ミスのないように正確に書きましょう。
全体的なポイントとしては、あくまでも論文の1パーツということを意識して、あまり熱く書きすぎないことです。
謝辞を書いた方がいい3つの理由
最後に、謝辞を書いた方が良い理由として筆者が思うことを以下に記します。
① 感謝の気持ちを表現できる
やはり、これが最も大切だと思います。
関係者全員に直接、改めて面と向かって感謝の意を表することはなかなかできないものです。そんな時に、謝辞を書くことで、自身の気持ちを表すことができます。
また、書き記すことで記録として残りますので、ふと見返した時に、感謝の気持ちが蘇り、たくさんの人に支えられながら、ここまでこれたことを実感することができます。
② 形式と体裁が揃ってクオリティが上がる
やや実務的な話になりますが、多くの学位論文にはフォーマットとして謝辞が掲載されておりますので、ご自身の論文でも慣習的に掲載しておくのが無難といえます。
論文としての体裁が整い、クオリティを上げることができます。
③ 少ない労力で1ページかさ増しできる
謝辞の書き方でご説明した通り、ある程度、標準化されておりますので、すぐに執筆することができます。
たかが1ページですが、たとえば、論文が39ページなのと、40ページなのとでは、ちょっと印象が異なりますよね。
学位論文のページ数の多い少ないは本質的な議論ではないですが、文系論文において、その厚みが信頼性を強化することも事実です。
謝辞を書かなくてもいいのか?
謝辞は必須ではないと思います。(大学の規程にもよりますが、)謝辞がないという理由で学術的な評価が下がったりすることもないのでは?と思います。
ただ(少なくとも筆者の周りでは)謝辞なしの論文を見たことがないのも事実です。
強制力はないのですが、謝辞は書いておくのが無難かと思います。
あまり書く気にならない方は、一度、指導教員や学務・教務などに確認を取っておくのが安心です。
おわりに
見栄えや形式も大切ですが、最終的には「感謝の気持ち」が最も大切です。
お話ししたことのポイントをまとめると次の通りです。
- 「謝辞」とは、研究にあたって支えてくれた方々へのお礼のメッセージ
- あまり深く書かずに、シンプルかつ簡潔に感謝の気持ちを書き記す
- でも、あまり形式にとらわれずに、素直に感謝の気持ちを述べれば良い
この3つのポイントを抑えながら実践することをオススメします。
今回は、「謝辞」の書き方についてお話ししました。
効率的な視点でいえば、謝辞はすぐに書けるので、論文執筆が辛くなったときなどに、気分転換として取り掛かるのがオススメです。
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